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唐津元気プロジェクトについて聞いてみました

唐津元気プロジェクトは、佐賀県唐津市で行われているプロジェクトです。
飯盛研究会と佐賀県のつながりは、2015年9月の基山町での夏合宿から始まりました。基山町元気プロジェクトでは、まちづくり活動に取り組んでいる基山町の高齢者団体「SGK(Senior makes Great Kiyama)」と携わりながら、ワークショップを開催するほか、コミュニティカフェへの提言やフォローアップが行われました。

一方、唐津元気プロジェクトは、2017年2月に唐津市で行われた唐津へのフィールドワークから始まりました。早朝のイカ漁業体験やいちご狩りなどの農業体験を通じて唐津の魅力を堪能し、最終日には提言発表会を開きました。観光の面から唐津市をより一層盛り上げるアイデアを班ごとに発表し、それをもとに唐津プロジェクトは動き出しました。
住民の生の声を聞くための意見交換会や、町の課題を解決するためのアイデアを住民と学生が一緒に考えるワークショップなどを経て、2018年1月にはついに、イベントの実現にこぎつけました。「七つの星の物語」という星空鑑賞イベントで、夜の七ツ釜にて開催し、キャンドルナイトやフォトスポット、朗読などの企画を行いました。

現在は、2018年9月に七ツ釜で開催予定のイベント「ナナフェス」に向けて、住民の方と共に、会議を重ねながら企画を練ったり広報を行ったりしているところです。
唐津市屋形石地区の伝統的な夏祭りにて山車を曳かせていただいたり、出張のたびに唐津市の美味しいものを囲んで交流会をしたりと、とにかく住民の方と学生の距離が近く、濃密な関わりがあることが、唐津元気プロジェクトの大きな魅力です。
観光客が減少してしまった七ツ釜をもっと賑やかにしたいという思い、「七ツ釜を誇れる場所に」という目標に向けて、住民の方々と一体になってプロジェクトを進めていきます。

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七ツ釜。玄武岩が玄界灘の荒波に浸食されてできた複数の海蝕洞。

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七ツ釜の上に広がっている草原。

続いて、唐津元気プロジェクトに対するメンバーの率直な思いを知るべく、プロジェクトリーダーの3年・川端菜奈子さんにインタビューを行いました。リーダーの人柄を垣間見ることができました。


それでは早速お願いします! まず、川端さんが飯盛研究会に入ったきっかけを教えてください。

川端
自分が富山出身で地方出身でもあるから、飯盛研究会が地方創生をやっているのが単純に気になったっていうのと、何かしら自分の地元に還元できたらなというのもあって。


富山はどんなところなの?

川端
自然豊かでいいところですよ。人があったかいし、みんな優しいと思う。


そうなんだ!他には、どんなものがあるの?

川端
立山らへんは黒部ダムもあって、とても綺麗。自然もあるし、街中はコンパクトシティを進めているから、路面電車も結構有名だよ。陶器なんかも有名。伝統もありつつ先進的でもあるんだよね。


そうなんだ。それじゃ、佐賀元気プロジェクト(以下・佐賀プロ)に入ったのはどうして?

川端
「美味しいごはんが食べれるよ♪」って言われたのと(笑)、佐賀の辺りに行ったことがなかったから、純粋に九州のことを知りたいなって思ったのと。あと、プロジェクト紹介のとき、合宿(2017年2月・唐津元気フィールドワーク)の写真に地域の若い方がたくさん写っていることにびっくりした!飯盛先生もおっしゃっていたけど、高齢者の方が地域活性化に取り組んでいることが多いって聞いていたから、若い方々がどうしてやろうってなったんだろう、とかいろいろ気になったんだ。私の地元も高齢者の方が取り組んでいるイメージがあったから、唐津の何がそんなに若い方を惹きつけているんだろうって。


佐賀プロの活動を通して、その答えは見えてきた?

川端
見えてきたのかはわからないけど、唐津がめっちゃいいところだってことはわかってきた! みんな唐津が好きなんだろうなって。みんな全然唐津以外のよそに出ようなんて思ってない。私たちも行ったら帰りたくないなってなるし、すごいところだなあ。人がいいのかな。若い方々が頑張っているのは、地元青年団のリーダーの方とか、市の議員さんの人望なのかなあ、とも思うよ。

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2017年7月に行われた意見交換会

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2017年8月の出張の際参加させていただいた地域のお祭り「屋形石祗園祭」


地域の方々の名前も出てきたところで……地域の方々とはどのような関係、雰囲気でプロジェクトを進めていますか?

川端
関係は、他の地域のプロジェクトの話を聞いている限り、すごくいいのかな。もちろんプロジェクトの話は真剣にするけど、そうじゃない話もできるっていうか、何でも話せちゃうし、いじり合えるしすごいなって。こんなことないなって思う。すごいよね。話しやすい。市役所の方も「なんか困ったら言いな」って、優しいお姉さん状態だし。とってもありがたいなって思う!青年団の人たちもみんな優しいよね。!すごい、大好き!


愛に溢れているね!さて、イベントをやっていこうとしている中で、川端さん自身が佐賀プロの活動の中で大事にしていることはある?

川端
関わる人がいっぱいいるから、いろんな意見が出てくる。消さないようにというか、できる限りみんなで意見を出していけるように、誰か一人がたくさんのことを言うよりかは、いろんなところの意見をうまく取り入れられたらなって思う。うまくいってるかは別として(笑)


イベントでも、地域の方の意見もたくさん出てくるようになったよね。

川端
それはすごく思う。遠慮して誰も意見を言わないのは避けたいから、そこは成功かな。しっかり言ってくれるようになった。「それはいいんじゃない?」だけじゃなくて、「えーそれはない」みたいなことも言ってもらえるから、いい変化かな。前だったら「これいいと思うんです」ってこちらが言ったら、(それに対して地域の方は)「じゃあそれでいこう」みたいな感じが強かったと思うけど、最近は「それはいらんばい!」も言ってくれるようになったからいいなって思うよ。

2018年1月に行った星空鑑賞イベント「七つの星の物語」での、キャンドルナイト企画の様子

2018年1月に行った星空鑑賞イベント「七つの星の物語」での、キャンドルナイト企画の様子

「七つの星の物語」での、「湊中学校区地域まちづくり会議」の皆さんと学生メンバーとの集合写真

「七つの星の物語」での、「湊中学校区地域まちづくり会議」の皆さんと学生メンバーとの集合写真


いい変化を感じているんだね。他にも佐賀プロを進めてくる中でやっててよかったなと感じるときはある?

川端
唐津に入ってる私たち自身が、唐津大好きって言えるのってすごいな。今回の出張(2018年8月)の小学校連携のとき、「東京からわざわざ来てくれてありがとう」と、校長先生が言ってくださって。「ありがとう」のためにやっているわけじゃないけど、「子どもたちも東京の大学生に会っていろいろやるの楽しみにしてるよ」って言っていただけたのは本当に嬉しかった。子どもすごかったよ、ワーッて感じで(笑)。一生懸命描いていてとっても可愛かった。(*この出張では、小学校連携として、「ナナフェス」に用いる竹灯籠を飾る絵を小学生に描いてもらった)


今回の出張の話、もっと聞きたいな。

川端
小学校では下書きを描いてきてもらって、それを和紙に描いて色を塗るというのを当日にやってもらったの。小学生は素直だから本当に面白かった! クワガタを下書きに描いてあって清書の方に描いてなかったのね、それで「え、なんで描いてないのー」って言ったら、「気分で描かないんだよ!」って! 「早く描いてよー」って言ったら「今描くからさ!」って、ちょっと反抗期が入っているみたいな(笑)。 
あとは、中学校区の区長さんなどがたくさん集まる会議に参加して、「こういう活動していて」みたいなのを軽く発表したんだけど、その会議は毎月やっているらしいの。まちづくりについて地区ごとにそれぞれどんな活動をしてきたかを毎月発表して、今後の予定も発表していて。すごくない? まちづくりのことをすごくしっかり考えてる。

2018年8月出張の小学校連携企画にて、竹灯篭を飾る絵を描いている小学生

2018年8月出張の小学校連携企画にて、竹灯篭を飾る絵を描いている小学生

2018年8月出張の参加メンバーによる集合写真

2018年8月出張の参加メンバーによる集合写真


まちづくりに取り組んでいる熱意がすごくあるよね。

川端
すごいんだなって思った。やっているとは聞いてたけど、会議に出てみたら「〇〇区は△△で××を進めていて、今後はこんな感じで進めていきます。もうちょっとしたら皆さんの意見を聞くかもしれませんがよろしくお願いします」みたいな感じで真剣に会議をしていて、この地域すごいな、(呼ばれて来てみたけど)私たち要るのかなって(笑)


その場に出れるっていうのもまた面白いよね。何はともあれ、出張お疲れ様でした。順調だね。

川端
まあなんとかって感じ。唐津の方達がいっぱい助けてくれてる。


ちゃんと助けてもらえるのはありがたいよね。川端さんはプロジェクトリーダーやってて、大変だなとか、プレッシャーを感じるときはあるの?

川端
あるある、全然。ありますよそりゃー。仕事振るのが上手くないから、どこをどう振っていいのかわかんなくなっちゃうし。


ちゃんと割り振られてるよ!

川端
それなら良かった。


最後に、佐賀プロのメンバーや唐津の皆さん、これを読んでいる方へ一言ずつお願いします!

川端
唐津はとってもいいところなので、皆さんの目で見に来てください!佐賀プロのみんなや唐津の皆さんへは……恥ずかしいから載せられません(笑)!


確かにね、直接言えるもんね(笑)インタビューは以上です。ありがとうございました!

筆者のまとめ

インタビューを通じて、川端さんが唐津を大切に思う気持ちがひしひしと感じられました。その思いがあるのは、唐津が魅力的な場所であり、そこに住む人々もまた魅力的であるからに他なりません。筆者自身も唐津を訪れるたびに、素敵な景色や美味しい食べ物、そして何よりも住民の方々の熱意や温かさに感動しています。もちろん他のメンバーのみんなも唐津が大好きで、出張が終わる頃にはいつも「帰りたくない〜!」って言っています(笑)。
唐津への愛を原動力に変えて、今後もますます七ツ釜を盛り上げていけるように、たくさんの地域の方々を巻き込みながら精一杯活動に取り組んでいきたいと思います!

written by 芝三奈