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白岡元気プロジェクト

白岡元気プロジェクトについて聞きました

2017年夏に埼玉県白岡市で合宿を行ってから、継続的に活動をしている「白岡元気プロジェクト」は、2018年春から本格的に白岡市への愛着醸成のため実践段階に入っています。
「白岡元気プロジェクト」を統括しているリーダーの久保さんに話を伺いました。

石川
白岡元気プロジェクトの概要を教えてください。

久保
白岡元気プロジェクトでは、昨年の夏に飯盛研で合宿を行い、その後秋から有志の学生で発足したプロジェクトです。昨年は、地域の皆さんから白岡市の課題をヒアリングしたり、実際にどういうことをしていくべきなのか、検討したりしました。そして、2018年度からは検討したことを実践に移していく年になりました。
今年度は、「リヤカー隊」と「多世代交流チーム」と「大山チーム」の3つに分かれて活動をしています。
もともと、白岡での課題は、人口減少はもちろん、それによって交流人口が減ってしまったり、地域への愛着やプライドが低くなっていることです。そういう課題を、地域の人同士の交流や新しく資源を発掘することで、住民のみなさんの地域への思いを強めて欲しいなと思い、私たちは活動をしています。

石川
それぞれのグループで、どういう活動をしているのですか?

久保
まず、「リヤカー隊」は地域の農家に眠っているリヤカーを使って、移動式の居場所を創ることを目的としています。「リヤカー隊」のコンセプトは”ポチでも集まり話したくなるリヤカー隊”ということで、ポチという犬ですら集まりたくなる居場所を創ることを目指しています。今まで、「リヤカー隊」ではネギを売ったりトマトを売ってきました。単に販売するだけではなく、販売によって人々が集まり、交流や会話が生まれることを目的としています。さらに、地元のお祭りに出店するため、リヤカーを改修しました。「リヤカー隊」という名前が白岡市でも認知度が上がってきたので、「リヤカー隊」はうまく活動している状況です。

  • リヤカー隊
  • リヤカー隊

久保
「多世代交流チーム」では、昨年の住民のみなさんへ課題を聞いたところ、子どもとお年寄りの交流が少ないという話がありました。そこで、子どもからお年寄りまでをつなぐ役割を学生が担うことになりました。今年は、「菁莪特技発見会」という住民の皆さんの特技を生かし何かイベントをしようと思っていました。しかし、いきなり特技を見つけることは地域のみなさんにとってもハードルが高かったため、「菁莪元気食堂」と題し6月に実施し、食べ物に使う野菜を住民のみなさんから提供してもらい、それを使って学生と住民の皆さんとカレーを作り、子どもとお年寄りとみんなで食べました。最初に企画していた「菁莪特技発見会」を通して住民の皆さんが自分のやりたいことをやれる機会を創りたいと考えていて、それが課題だと私たちは考えています。でも、前回の「菁莪元気食堂」の際、子どもたちがたくさん来てくれて、お年寄りの方からも次回やってほしいという声をいただき、スタートしたばかりですが、第1歩としては成功したのではないかと考えています。

白岡元気プロジェクト

久保
大山チームでは、前の2つのチームと違い、大山地域で活動をしています。目的は「Ohyama SOUL」と題し住民の皆さんが大山地域への愛着を持てるように、地域での人との交流を促すことです。学生発案の企画として、「大山っ子カレッジ」を開催しています。大山地域の資源が、学生の間では大山小学校と柴山沼ではないかと考え、まずは大山小学校を拠点とし子どもを巻き込んでいくことを目指しています。大山地域の子どもの数が減っていることは明らかですが、大山地域に住んでいる人・住んだことのある人は必ず大山小学校に思い出があるので、大山地域の1番大事な小学校を住民の皆さんに大切にしてもらえるように、活動をしています。前回4月に「大山っ子カレッジ」を開催したくさんの子どもに参加してもらいました。次回7月末に実施する際にはより多くの住民の皆さんを巻き込めていけたらいいなと考えています。大山地域は、菁莪地域と比較し活動の進捗が遅れているため、これからも学生と住民の皆さんとの連携は欠かせません。

  • 白岡元気プロジェクト
  • 白岡元気プロジェクト

久保
菁莪・大山地域の2つの地域でプロジェクトが進んでいるからこそ、大山地域の住民の方の一部は菁莪に遅れている、という認識があるようで、対抗心が生まれつつあるのかなとは思います。

石川
白岡プロジェクトリーダーとして、久保さんが学んだこと・感じていることはありますか?

久保
私は埼玉県越谷市出身で、飯盛研究会の中では最も白岡に近い存在だと自負していました。いざ白岡市に行ってみていいなと思ったことは、他の人に自分のものをすぐ提供して下さることでした。七夕祭出店の際、材料の提供をお願いした時に、住民のみなさんからすぐに野菜を頂きました。白岡の皆さんにとっては、他の人に自分のものを提供することが当たり前だと思いますが、私たち学生にとってはあまりないことです。人の温かさ・人のために何かしたいと思えることは、白岡のいいところだと私は感じています。

石川
人に何かあげる環境にないから、白岡のよさがわかるということでしょうか?

久保
そうですね。越谷出身ですが、白岡と環境は似ていると思っていました。ただ越谷では近所同士の付き合いはあまりありません。同じ埼玉県内でも白岡では田舎というイメージがあります。ただそういう地域だからこそ、SNSがなくてもすぐに連絡が取れたり声をかければいろんなものが集まることの凄さを感じました。

石川
近所の人の繋がりが大事ということは、世の中でも言われていますが、久保さんの生活に当てはめてみて、必要だと感じた場面はありますか?

久保
白岡の皆さんにお会いすると、温かい気持ちになります。体力的には疲れますが、気持ちは温かいです。私の近所の場合、挨拶はしますが気軽な会話すらしません。白岡に行けば子どもとも子育て世代もお年寄りの方ともお話できます。また白岡の皆さんは学生を温かく迎え入れてくださる地域性というものを感じます。大学生だけでいるよりもまた違った気持ちになります。飯盛研に入っていなかったら、温かい気持ちを感じたり、様々な世代の方々とお話する機会がなかったと思います。

筆者のまとめ

同じ埼玉県でも、そして同じ白岡市内でもその地域の良さがある。その良さをどのように活かして「活性化」していくのか、実践しながら研究しているのが飯盛研です。飯盛研の強みを改めて理解した筆者でした。

白岡元気プロジェクトのウェブサイトはこちら

written by 石川瞳