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スローシティプロジェクト活動報告 2021.3.22

今回、私たちは東京都台東区谷中に足を運び、まちやど「hanare」の運営をしているHAGISO代表・宮崎晃吉さんにお話を伺いに行きました。

「まちやど」とは、一般社団法人日本まちやど協会が指定する、まちを一つの宿と見立てて宿泊施設と地域の日常をネットワークさせ、街ぐるみで宿泊客をもてなすことで地域価値を向上していく事業です。

谷中というまちの特徴、歴史を実感し、その中でHAGISOが生まれた経緯など、たくさんのお話を聞くことができた1日でした。

HAGISOに伺う前に、谷中の商店街を探索に。
谷中は、まちの中にいくつものお寺が立ち並ぶ寺町でお寺がいくつもありました。
「谷中ぎんざ」と呼ばれる商店街にも人通りはあり、まちの人々がまちに定着した暮らしを送っている様子が垣間見えたような気がしました。

お寺の近くには人力車も発見

「谷中ぎんざ」の風景を一望

その後、まちやどの宿泊施設であるhanareの宿泊棟Marukoshsoへ。
お洒落さと古風な雰囲気を併せ持つ外観で、入り口の脇では日本各地の野菜や果物が売られていました。

新鮮なお野菜たち

旅の好きなスタッフが知り合った農家さんと直接連絡を取り合い、日本各地から野菜を取り寄せているのだそうです。
人との繋がりを大切にすることから生まれた販売所はまちの路地の中にひっそりと存在し、通りかかったまちびとがふと足を止める、そしてお話をしながら野菜を買っていく、そんな風景が目に浮かびました。

それからHAGISOに向かい、二階の事務所へ。
一階はカフェで、hanareの食堂を兼ねていました。
ここから宮崎さんにお話を伺っていきます。

住宅街で一際目をひく「HAGISO」の外観

感染対策万全でインタビュー開始

HAGISOとは、お寺が所有する戦後の単身者用宿泊地として使われた木造アパートでした。
その萩荘に、東京藝術大学似通っていた宮崎さんが住んでいたことが始まりだそうです。震災で取り壊すことになった萩荘で、最後にアートイベントとして東京藝術大学の仲間とお金をかけずに壊して好きなように作り替えると、多くの人が足を運んだといいます。
その後、一見値打ちのない建物を活用して事業化し、HAGISO、hanareなどを作り、運営しています。

「萩荘」時代の表札

カフェやギャラリー、ホテル(hanare)のフロントが併設されたHAGISOのコンセプトは、文化複合施設であると話す宮崎さんは「まちやど」についてもお話ししてくれました。
まち=「地域の日常」を大切にした唯一無二の宿であり、ネットワーク型のツーリズムの復活を目指しているそうです。

また、「イタリア発祥のアルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)の意識はしていましたか?」という質問に対しては、「はい。2012年にイタリアのローマで泊まった宿をイメージしています。」と。hanareは、今は「まちやど」として運営を行っているとのことでした。

地域との繋がりに関しては、お店同士の連携が生まれ、コロナウイルスの対応として幾つかのお店で共同の宅配システムを作ったそうです。まちのイベントにも参加し、少しずつではあるが住民との繋がりも増えているといいます。しかし、コロナウイルスの影響で、以前のお客様の7割を占めていた海外からの観光客が来なくなり、苦悩もあるようです。

たくさんお話を聞いた後、再度Marukoshisoに戻り、内観を見せていただきました。
フロントはHAGISOに、大浴場はまちの銭湯、レストランはまちの飲食店、お土産は商店街で、文化体験はまちの稽古教室やお寺で、というコンセプトのhanare。
客室は、シンプルかつお洒落で、あたたかみを感じる空間でした。

どことなく懐かしさが漂う客室

その他にも、ベーカリーのTAYORIなど、まちの中を探索しながら系列店を回り、まちやどの魅力と谷中というまちの魅力を体感しました。

お話をしてくださった宮崎さん、hanareのスタッフの方々、貴重なお時間をありがとうございました!

全員集合でパシャリ *写真撮影時のみマスクを外しております。

Written by 加藤七菜子