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研究室について

2023年夏合宿の模様

飯盛義徳(いさがいよしのり)研究室は、各地での実践を通じて、地域における効果的なプラットフォーム設計の実践知の創造に挑みます。
プラットフォームとは、多様な主体の相互作用によって社会的創発をもたらすコミュニケーション基盤をいいます。このプラットフォームをどのように設計していけば、いろいろな人たちの協働がうまれ、新しい活動や価値が生まれるのか、アクションリサーチ(action research)を通じて具体的方策を明らかにしていきます。

バウンダリパースペクティブとは

「バウンダリ・パースペクティブ」による社会の問題解決を目指しています。
バウンダリ・パースペクティブとは、多様な主体との学び合いや協働などによって、何らかの新しい知や価値、活動を生み出すためのプラットフォームを設計する際の視点として、バウンダリに着目するアプローチです。ここでいうバウンダリとは、「内と外の区分けをするエリア、人工物、文化などの総称」をいいます。バウンダリ・パースペクティブは、多様な主体やものがつながり、コラボレーションを実現し、新しい価値を生み出すための方法を探究するもので、学びの場の形成、伝統産業や商店街活性化、民俗学など、地域活性化に関わるさまざまな分野に適用可能な、実践的なアプローチになると考えています。そのキーワードは、「縁(えん・ふち)」という言葉であらわせます。すなわち、つながりと境界です。

協働を実現し、社会的創発をもたらすための効果的なプラットフォームを設計するためには、内と外との区分けをどのようにつくるのか、バランスを入念に考えることが大切なポイントになります。「バウンダリ・パースペクティブ」は、さまざまな分野に適用可能な、実践的なアプローチになると考えています。

飯盛研究室白岡市合宿フィールドワーク

とくに、地域活性化の分野には有効なアプローチだと考えています。昨今、地域の元気の源としてよそ者の存在や視点に注目が集まっています。よそ者は、今まで地域の方々が気づかなかった資源を見いだしたり、新しいつながりを形成したりすることができる可能性があることがわかっています。
ただ、漫然とよそ者が地域に入っても成果はおぼつかないでしょう。何らかの成果をもたらすためには、よそ者と地域との絶妙な距離感、内と外とのバランスをどのようにとるのかが問われます。

各班のミーティング

また、人や組織のネットワークでは、強い関係性と弱い関係性が共存したネットワーク構造が頑健という指摘があります。しかし、具体的にどのようにすればそのようなネットワークが構築できるのかはこれからの課題です。一つには、コーディネータによる融合という方法があります。もう一つには、内でもあり(なく)、外でもある(ない)、どちらでもないような、自由な思考、実践が可能なエリア(バウンダリ)を構築することも解決策として考えられます。

Project Based LearningとIRF

私たちは、一人一人が起業家(アントルプレナー)として、既存の研究プロジェクトに所属するか、自ら研究プロジェクトを立ち上げて、Project Based Learningを実践しています。その上で、経営学、プラットフォームなどを中心としたさまざまな学問領域の理論研究を行い、全員で立場を対等にして徹底的に議論する「会読」を取り入れています。

各班のミーティング

最終成果として、独自の研究発表会であるIRF(ISAGAI Lab. Research Forum)を開催し、メンバーの研究成果を個別に発表しています。
詳細はこちらをご覧ください。

IRFの様子

「恕」「知行合一」

私たちの研究室では、「恕」と「知行合一」をモットーとしています。
恕とは、他人の立場や心情を察すること、また、その気持ち。思いやりという意味があります。
知行合一とは、知識と行動は一体であり、行動を伴っていない知識は未完成である、という意味です。

ここでの学びや実践が、生きる力の涵養をもたらし、混迷の社会をいかに生きるかを考える契機になって欲しいと願っています。